現在、日本では景気が上向きになってきていることを受けて、人材不足がより顕著になってきており、それに比例して就職もより容易になってきています。

その反面、フリーターの割合は現在でも一定数存在しているのが現状です。そこで、今回は年代別や学歴別のフリーターの割合を見ていくことで、フリーターの現状に変化はあったのかを見ていきます。

また近年大卒のフリーターの割合が増えてきており、社会問題となっています。そこでなぜ大卒という高学歴であったとしてもフリーターをするのか?その主な要因についても考察します。

フリーターの定義

「フリーランス・アルバイター」の略であり、15歳~34歳でパートやアルバイトをしている若者のことを指します。(ただし、学生や家事に従事している人は除かれます。また結婚している女性も除かれます。)

元々が20代や30代といった若い人たちのことを指している言葉なのですね。

また現在、総数は約152万(2017年)いるとされ、総人口に占める割合は5.9%(2017年)となっており、総数や割合ともに年々減少しています。

参考:労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の概要

【年代別】20代・30代のフリーターの割合

ここでは本題のフリーターの割合は年代や学歴などバックグランドによって差があるのかについて解説します。まずは、20代と30代人口に占めるそれぞれのフリーターの割合がそれぞれどれくらいあるのかを見ていきます。

内閣府では年代別の割合を調査しており、年齢を10代後半~20代前半と20代後半~30代後半に分けて、それぞれの割合を算出しています。

年代別フリーターの割合

年代/年 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
15~24歳 6.9 6.3 6.6 6 5.8 5.2 5.3
25~34歳 6.4 6.9 7 7.4 6.9 6.7 6.6

参考:内閣府  平成30年版 子供・若者白書(全体版)

上記の調査によると、2011年までは、10代後半~20代前半の割合が高かったものの、翌年に逆転をし、現在は20代後半~30代前半の割合が高いまま推移しています。

よって上記調査からの推測になりますが、現在、20代の割合は6%前後、30代は7%前後であると予想できます。

今後もさらに30代の割合が増加、言い換えると、フリーターの高齢化が進みそうです。ちなみに、年齢別のフリーターになったことのある経験の割合も見てみると同様の傾向であることが分かります。
参考:労働政策研究報告書No. 199「大都市の若者の就業行動と意識の分化―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
※十分なサンプル数が集められなかった調査回については、0と表記

フリーターを経験したことのある割合で見ても、2001年は20代前半の割合が一番多かったにも関わらず、2016年は30代前半が多くなっており、高齢化が進んでいることが分かります

※一方で「無職」の割合については30代よりも20代の方が高いとのデータが出ており、フリーターの高齢化が進んでいるとは言え、まだまだ若年層に比べて中高年の雇用が重視されているという見方もされています。詳しくは「無職者の人数と割合」をご覧ください。

【男女別】女性フリーター経験の割合

ちなみに男女間で経験の割合に差はあるのでしょうか?

男女別フリーター経験の割合の推移

年齢/年 2001 2006 2011 2016
男性 20~24歳 41 51.9 44.8 0
25~29歳 31 41.3 43.3 28.8
30~34歳 0 0 0 33.5
女性 20~24歳 35 50.4 45.8 0
25~29歳 36 50 40.4 38.8
30~34歳 0 0 0 49.2

参考:労働政策研究報告書 No.199 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―
※十分なサンプル数が集められなかった調査回については、0と表記

上のグラフから、25~29 歳におけるフリーター経験の割合は、男女ともに2006年から減少していることが分かります。また女性に比べて男性の減少率が高くなっています。女性は2011年から2016年のフリーター経験の割合が微減である一方、男性の割合は14.5%減っています。

この統計を見るに、男女格差が広がってきているのでしょうか。

女性の社会進出が進んでおり、働き続けることが当たり前になっていることや、晩婚化が進むにつれて未婚女性の割合も増えていることが影響しているのかもしれません。

また2016年の調査では、男性女性ともに共通して、30代前半のほうがフリーターの経験の割合が多いです。特に女性に関しては、経験率が半数弱に迫っています。つまり、現在、女性の30代の割合が増えていることが分かります。

【学歴別】大卒・高卒フリーター経験の割合

今や、「大学全入時代」とも呼ばれるほど、日本人は高学歴化してきています。ここでは最終学歴とフリーター経験に関係性があるのかを見ていきます。すると興味深い傾向が分かりました。

フリーターの学歴別内訳の推移

学歴/年 2001 2006 2011 2016
高校 43 30.5 22.8 18.7
専門・短大・高専 28 33.4 30.8 24
大学・大学院 11 21.1 27.2 40.6
中卒・高校中退 11 7.8 7.5 7.8
高等教育中退 6 7 9.9 8.2
在学中・その他 0 0.2 1.7 0.7

参考:労働政策研究報告書 No.199 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―

なんと、大卒・大学院卒の割合は約4割と、2011年に比べて13.4%増加していたのです。また、文部科学省の調査結果によると、2017年の大卒者のうち、一時的な職業に就いた人の割合は1.6%だったそうです。

大卒生が567,763人であることから、昨年は9,183 人もの大卒生が非正規労働者として働いていたことが伺えます。
参考:平成29年度学校基本調査について(報道発表)

よって大学を卒業しても正社員として就職をせずに生きていくということが少数派ではなくなってきています。

反対に他の学歴に関しては軒並み割合が減ってきています。特に、2001年に一番割合が高かった高卒は、年々減少をしており、2016年は18.7%となっています

つまり、非正規雇用者においては、高年齢化だけでなく、高学歴化も進んでいることが分かります

※ちなみにフリーターだけでなく、ニートの割合においても年代や学力が高くなるにつれて高くなっています。詳しくは「ニートの割合」をご覧ください。

大卒のフリーターの割合が増えた要因

先ほど非正規雇用者の高学歴化が進んでいることが分かりましたが、なぜ大学を卒業しても約4割の人が正社員として就職ができないでいるのでしょうか?もしくは理由があってあえて正社員として就職しない道を選んだのでしょうか?

ここでは、大学を卒業後就職をせずにアルバイト・パートして働いている主な要因について見ていきます。

転職する際の生活のつなぎのため

今や転職が当たり前になってきており、前の職場を辞めて、次の職場に移る間のつなぎの時期にアルバイトとして働いたケースがこれに当てはまります。

次の職場が決まっているとは言え、働き始めるまでは収入が0になってしまいますので、当分の生活の足しのためにアルバイト・パートとして働くという選択肢をとったということですね。

また非正規雇用として働く間に次の職場で必要な資格を取ったり、旅行に行ったりといった、柔軟に働けるからこそできることを行っている人もいます。

資格の取得のため

司法試験、教員採用試験、公務員採用試験など、就職のために必要な試験に合格するためにフリーターになったケースがこれに当てはまります。

大学や大学院中に試験に合格できなかった場合は、卒業後に再チャレンジすべくフリーターになって試験勉強をしているのです。

海外留学のため

海外留学をする際に職場を辞めざる得ず、海外留学の前後にフリーターになったケースがこれに当てはまります。

特に海外留学後に再度正社員に就職しようと試みるも、中々就職できずにフリーターとして働いているというケースが多いのが実情です。

就きたい仕事の入り口がフリーター

やりたい仕事があったとしても、非正規雇用(フリーター)でないと就職が難しく、フリーターになったケースがこれに当てはまります。

例えばある企業に正社員として就職したいと思っても、アルバイトの求人しかなかったために、まずはアルバイトとして就職をした場合は、フリーターに分類されます。

参考:労働政策研究報告書 No.199 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―

ここまで大卒のフリーターの割合が増えた主な要因を見てきました。

大卒の場合は、何となくフリーターになったというよりは、いつかは正社員として働きたいが、今はフリーターにならざるをえないケースが多いのですね。

※ちなみにフリーターになる要因は4つに分類できるとした研究結果もあり、最近だと将来高い専門性が要求される仕事に就くための勉強時間を確保するためにフリーターになる「ステップアップ型」が増えています。他にもどのようなタイプがいるのかを知りたい方は「フリーターの人数と現状」の記事をご覧ください。

まとめ

年代別や学歴別のフリーターの割合の統計結果から、30代以降の割合の増加と、大卒以上の割合の増加が顕著であることが分かりました。

フリーターのメリットデメリットはそれぞれ存在し、一概に正社員として働き続けることが悪いというわけではありません。しかしながら、今後もフリーターの高年齢化と高学歴化が進むことは、アルバイトやパートとして働く人たちの問題をより増大させてしまうことになると言えます。

最も大きな問題は、年齢を重ねても収入面が不安定で先が見えにくいことです。正社員に比べてフリーターは賞与の支給もなく、昇給や昇格による給料アップも望めません。

さらに高年齢化したフリーターがいざ就職しようと思っても、同年代の正社員の持っているスキルや経験と比べられるため、就職するハードルが高いのが実情です。(フリーターでいつづけることのリスクは「フリーター増加の問題点と理由」でも詳しく解説しています。)

よって非正規雇用という現状から脱して正社員として就職したいと思った瞬間から、できるだけ早く今の環境を脱するために準備をすることが必要です。まずは今の自分にできることや、就職してやりたいことは何かを把握することから始めましょう。

年齢を重ねるほど、希望の職場に就くまでには、困難な壁が立ちはだかります。特に30代になると、未経験での就職が一気に難しくなります。自分1人で就職することが難しい場合は、今のフリーターからの就職事情を十二分に分かってるフリーター専門就職支援のサービスを利用することも1つの手です。