フリーターは非正規雇用の中に含まれるため、年収が同年代の正社員と比べると低いのが実情です。

しかし日本に住んでいる人であれば保険料を支払わないといけなく、働いていて収入がある場合は税金を払わないといけません。すると年収が低いフリーターの場合は、保険料や税金が生活を圧迫し生活できなくなってしまうおそれがあります。

よってある一定額以下の年収で親などの扶養者がいる場合は、自身が親などの被扶養者となることで、保険や税金の納付を控除することができます。

そこで今回はフリーターが親などの被扶養者となるための条件について見ていきます。またもし親などの扶養から外れる場合はどのような手続きが必要なのかや、親などの扶養を外れることで生じる影響についても見ていきます。さらに扶養から外れるメリットがあると言える年収額についても計算しましたので紹介します。

フリーターが払うべき保険料と税金

まずここではフリーターが払うべき保険料と税金の種類について説明します。

医療保険

医療保険とは月々決まった保険料を納める代わりに、医療機関への自己負担料が少額で済んだり、病気やけが、出産などで休職した場合に一定の給付金をもらえる制度のことです。

日本に住んでいる人は何かしらの医療保険に入らないといけないことになっています。(ただし生活保護受給者や滞在して3か月未満の外国人など一定の条件を満たす場合は、加入対象外となります。)また年齢や属性によって下記の通り入ることができる保険が決まっています。

内訳
  • 国民健康保険…自営業や無職者が加入
  • 健康保険(社会保険)…会社員が加入
  • 共済組合…公務員や私立学校の教職員が加入
  • 船員保険…船員が加入

上記の内訳の中でフリーターの場合は「国民健康保険」か「健康保険(社会保険)」に加入することになります

    健康保険(社会保険)は勤務先が加入している組合に加入することになり、届け出もフリーター自身でなく勤め先の企業が行います。また健康保険については、自身が全額費用を負担するのではなく、勤め先の企業が費用を折半して納めてくれます。よって健康保険に加入する方が、国民健康保険料よりも安く済む場合が多いのです

    しかしながら健康保険(社会保険)はフリーターの場合、勤務時間や給料額など一定の条件を満たさないと加入することができません。

    よって入ることが難しいフリーターは、国民健康保険に加入することになります。なお、国民健康保険については自身の住んでいる市役所に出向いて自身で加入手続きを行う必要があります。

    年金

    年金もいくつかの種類が存在します。

    内訳
    • 国民年金…20歳以上60歳未満であれば誰しも加入しなければならない年金
    • 厚生年金…国民年金に上乗せして会社員が加入しなければならない年金
    • 共済年金…国民年金に上乗せして公務員や私立学校の教職員が加入する年金

    フリーターの場合、国民年金のみ、もしくは厚生年金も含めて加入することになります。ただしフリーターが厚生年金に加入するハードルは高いので、基本的には国民年金のみになります。

    税金

    次にフリーターが納めないといけない税金類ですが、給与を得ている場合に納めないといけない税金としては、

    • 「住民税」
    • 「所得税」

    が挙げられます。

    住民税とは?

    住民税とは住んでいる都道府県と市町村に対して納めなければならない税金のことです。一定額に加えて前年の所得額に応じて住民税率が定められています。

    住民税のポイントは「前年の所得額」ということです。よって今年度所得がなかったとしても前年度所得があった場合は、住民税を納めなければなりません。また一定期間働いた場合は前年度の所得額が分かるため、勤め先の企業が給与から住民税を天引きしてくれますが、給与から天引きがされない場合は、自身で住民税を納める必要があります

    所得税とは?

    「所得税」とは国に対して所得(給料)に応じて納めなければならない税金のことです。所得税も累進課税制度をとっており、所得額に応じて所得税率が定められています。所得税に関しては通常、給与から天引きされるため、フリーター自身で何か特別な手続きを行う必要はありません

    ※なお住民税額については課税所得の10%を、所得税額は課税所得の5~45%となっています。詳しい計算式や年収毎の税金額については「フリーターの税金額を計算してみた」をご覧ください。

    フリーターが親の扶養に入るための条件

    次に保険や税金の支払いの対象外となる「被扶養者」となるための条件について見ていきます。

    まずそもそも「扶養」という概念があるものは社会保険のうち(「健康保険」、「共済組合」、「船員保険」)になります。それ以外の国民健康保険や、厚生年金、税金類については親などの扶養に入ることはできません。

    そこでここではまず健康保険の扶養条件について見ていきます。

    さらに扶養という概念はないものの、国民健康保険、厚生年金、国民年金、税金類については減免や払わなくてもよい条件が存在します。よってそれらの諸条件についても見ていきます。

    健康保険(社会保険)の扶養に入る条件

    以下は健康保険(社会保険)加入者の被扶養者となるための条件です。

    被扶養対象者
    • フリーターの年収が130万円未満であること
    • 扶養者(親など)と同居の場合、フリーターの収入が扶養者の半分未満であること
    • 扶養者(親など)と別居の場合、フリーターの収入が扶養者からの仕送り額より少ないこと

    参考:日本年金機構 健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き

      上記を踏まえると、健康保険の被扶養者となりたい場合は、年収が130万円を超えないように調整する必要があります。反対に年収が130万円を超えてしまうと、扶養から外れることになりますので気をつけましょう。

      国民健康保険の減免条件

      まず国民健康保険の場合は「扶養者」という概念が存在をしないため、「扶養に入る」や「扶養から外れる」といった概念も存在しません。

      しかしフリーターを含めた家族の年収額が一定の条件に当てはまる場合は、支払い額のうち一定額の減免措置を受けることができます

      例えば2018年度の東京都中央区の場合、昨年度の世帯全体の総所得金額が33万円以下の場合、均等割分39,000円払わなければならないところ、11,700円で済みます
      参考:東京都中央区 国民健康保険料の軽減・減免

      また年収100万円の場合は減免措置を受けるため27,408円/年で済みますが、年収200万円の場合は135,906円/年と一気に跳ね上がります。
      (詳しい計算式については「フリーターの国民健康保険について」をご覧ください。)

      厚生年金の扶養条件

      続けて厚生年金の場合は、扶養対象者は厚生年金加入者の配偶者(年収130万円未満)に限定されています

      よって厚生年金の扶養に入るためには、結婚しており配偶者が厚生年金に加入しており、かつ自身の年収を130万円未満におさえる必要があります。
      参考:日本年金機構 国民年金第2号被保険者が、配偶者を扶養にするときの手続き

      国民年金の減免条件

      国民年金に関しては、20才以上の国民全員が加入しなければならないため、「扶養に入る」とか「扶養から外れる」といった概念は存在しません。

      しかし国民健康保険と同じく、年収額によっては「保険料免除」や「保険料納付猶予」といった優遇措置を受けることができます

      例えば前年度の年収が(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下(扶養親族がいない場合、年収57万円以下)の場合、支払いが全額免除されます
      参考:日本年金機構 保険料を納めることが、経済的に難しいとき

      住民税の免除条件

      次に住民税についてですが、住民税の場合は「扶養に入る」とか「扶養から外れる」といった概念は存在しません。そして扶養者の有無は関係なく、前年度の年収が100万円超える場合は支払わないといけません。(100万円以下の場合は控除額が年収額と同等以上になるため、住民税が発生しません。)

      よって住民税を免除するためには総年収が100万円を超えないように調整する必要があります

      また自治体によって金額が変わりますが、自治体の多くがフリーターの年収が103万円以下の場合は扶養者が「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」を受けることができます

      所得税の免除条件

      所得税の場合も、「扶養に入る」とか「扶養から外れる」といった概念は存在しません。しかしながら収入金額が103万円以下の場合は控除額を差し引くと年収額以下になってしまうことから、所得税を納めなくてよいことになっています。
      参考:国税庁 所得税 パート収入はいくらまで所得税がかからないか

      よって、所得税を免除するためには総年収が103万円を超えないように調整する必要があります

      また住民税と同じくフリーターの年収が103万円以下の場合は扶養者が「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」を受けることができます

      【まとめ】年収毎の納めるべき保険や税金

      年収毎のフリーターの納めるべき保険や税金
      • 100万円以下…国民健康保険(親などの扶養から外れる場合)、国民年金
      • 100万円~103万円以下…国民健康保険(親などの扶養から外れる場合)、国民年金、住民税
      • 103万円~130万円未満…国民健康保険(親などの扶養から外れる場合)、国民年金、住民税、所得税
      • 130万円以上…国民健康保険または健康保険(社会保険)、国民年金または厚生年金、住民税、所得税

      ※フリーターの年収が103万円以下の場合は、扶養者の住民税と所得税に対して「配偶者(特別)控除」「扶養控除」が適用される

      フリーターが被扶養者の場合の確定申告の注意点

      フリーターの多くが自身で勤め先では年末調整を行ってくれず自身で確定申告を行っていますが、親などの扶養に入っており被扶養者となっているフリーターの場合は、確定申告の際に気をつけることはあるのでしょうか?

      まずフリーター側の方で何か申請をする必要はありませんのでご安心ください。しかしながら親などの扶養者の方が「健康保険 被扶養者(異動)届」を勤め先に提出しなければなりません
      参考:日本年金機構 健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き

      また国民健康保険に加入しており世帯の年収が減免基準を満たす場合は、フリーター側が確定申告を行った上で減免申請を行う必要があります

      住民税や所得税についても確定申告をすることで、余分に払った分が戻ってくることがありますので、勤め先にて年末調整が行われなかった場合は、忘れずに確定申告を行いましょう。

      また配偶者がフリーターで、配偶者控除の基準を満たす場合は、扶養者となる配偶者の方が所得税の配偶者控除申請を行う必要があります。

      フリーターが親の扶養から外れるとどうなる?

      フリーターが親などの健康保険の扶養に入るためには、年収130万円の壁があります。しかし生活のために年収130万円を超えて働きたいフリーターもいるでしょう。しかし年収が130万円を超えても働きたい場合は、親などの扶養からは外れることになります。

      その場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?また手続きを怠った場合どのような影響が出るのでしょうか?

      国民健康保険料を自分で払わないといけない

      フリーターが親などの扶養から外れる場合ですが、フリーター自身にて勤め先の健康保険(社会保険)もしくは、国民健康保険に入らないといけません

      もし扶養から外れることになっても、何れにも加入しなかった場合、医療機関にかかる際には全額自己負担でかからないといけなくなり、病気やけが、出産などで入院した際の補償も受けられなくなります。さらに国民健康保険の延滞料も発生しますので未納には気をつけましょう。

      フリーターは国民健康保険しか入れないのか

      年収が130万円を超えて親の扶養を外れる場合、通常そのフリーターは国民健康保険に入ることになります。しかし扶養から外れることになっても自身の勤務状況や勤め先の企業の規模により、勤め先の健康保険(社会保険)に加入することもできます

      健康保険の加入条件
      • 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上
      • 1か月あたりの決まった賃金が88,000円以上
      • 雇用期間が1年以上
      • 勤め先の会社の従業員数(正社員など)が501人以上、もしくは労使でフリーターの加入が合意されている

      参考:厚生労働省 平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)

        一般的に国民健康保険より健康保険の方が補償の範囲が広く、保養施設や運動施設が割安で使用できるなどの特典がついていることもあります

        また健康保険料の方が国民健康保険料よりも自身の負担額が1/3~1/2ほど少ないことが多いです。(詳しい負担額の差については「フリーターが保険証を持つには?」をご覧ください。)

        ちなみに厚生年金についても上記の加入条件と同じであり、将来の年金額も国民年金に比べて多いため加入することをおすすめします。よって親などの扶養から外れることになった場合は、勤め先の企業にフリーターであっても健康保険や厚生年金に加入ができないかをかけあってみることをおすすめします

        注意点

        2016年10月より勤め先の健康保険や厚生年金に入ることが可能な月収額が88,000円以上に緩和されました。年収額に換算すると約106万円になります。

        よって本来であれば年収130万円までは親などの扶養に入ることができるものの、月収が88,000円を超え、他の条件も満たすと、扶養から外れることになるという問題が生じることも。よって上記の月収額88,000円以上稼いでいるかも重要な要素となります

        親の扶養に入る方が得なケースもある

        ここまで主にフリーターの年収額によって扶養控除が適用されるか否かが決まることをお伝えしてきました。するとフリーターの年収額によっては、親などの扶養に入っていた方が実質の手取り額が増えて得なケースが存在します

        フリーターの年収がいくらまでなら親などの扶養に入っていた方が得なのでしょうか?反対に年収がいくらまでだと親などの扶養から外れることが不利になってしまうのでしょうか?

        ここではフリーターの年収が99万円、101万円、104万円、120万円、130万円、140万円、150万円の場合の家族全体の手取り額について計算しました。

        フリーターの年齢は現在25歳とします。また同居家族(1名)の手取り年収は500万円とし、その家族は健康保険と厚生年金に入っているとします。また今回のケースでは扶養控除を受けられるものとします。

        また便宜上、年収500万円の家族分の保険料と税金額は年収額の20%とします。フリーターの場合は保険料は年収額の15%とし、住民税額と所得税額は年収額によって変動するため都度計算をします。さらにここでは他の控除については考慮しないものとします。

        ※住民税の計算は東京都の個人住民税の計算方法を元に算出。
        ※所得税については国税庁による所得税の税率を元に算出。
        ※扶養控除額については国税庁による扶養控除額を元に算出。

        年収が99万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。保険は家族の扶養に入ることができるため支払い額は0円、住民税と所得税も免除されるため、税金額は0円となります。

        よってフリーターの手取り額は990,000円となります。

        次に扶養家族の手取り額を計算します。扶養控除が適用され、住民税の扶養控除額330,000円と所得税の扶養控除額380,000円を合わせると710,000円となります。

        扶養控除を考慮して家族の保険料と税金額を差し引いた手取り額は4,142,000円となります。

        よって家族の総手取り額は5,132,000円となります。

        年収が101万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。保険は家族の扶養に入ることができるため支払い額は0円、住民税は6,500円、所得税も免除のため0円となります。

        よってフリーターの手取り額は1,003,500円となります。

        次に扶養家族の手取り額を計算します。扶養控除が適用され、家族の保険料と税金額を差し引いた手取り額は4,142,000円となります。

        よって家族の総手取り額は5,145,500円となります。

        年収が104万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。保険は家族の扶養に入ることができるため支払い額は0円、住民税は8,500円、所得税は52,000円となります。

        よってフリーターの手取り額は979,500円になります。

        次に扶養家族の手取り額を計算します。この場合は扶養控除は適用されなく、家族の保険料と税金額を差し引いた手取り額は4,000,000円となります。

        よって家族の総手取り額は4,979,500円となります。

        年収が120万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。保険は家族の扶養に入ることができるため支払い額は0円、住民税は27,000円、所得税は8,678円となります。

        よってフリーターの手取り額は1,164,322円になります。

        次に扶養家族の手取り額を計算します。この場合は扶養控除は適用されなく、家族の保険料と税金額を差し引いた手取り額は4,000,000円となります。

        よって家族の総手取り額は5,164,322円となります。

        年収が130万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。この場合、家族の扶養からは外れるため、支払い額は195,000円、住民税は34,500円、所得税は13,700円となります。

        よってフリーターの手取り額は1,056,800円になります。

        次に家族の手取り額を計算します。この場合は扶養控除は適用されなく、家族分の保険料と税金額を差し引くいた手取り額は4,000,000円となります。

        よって家族の総手取り額は5,056,800円となります。

        年収が140万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。この場合、家族の扶養からは外れるため、支払い額は210,000円、住民税は44,500円、所得税は18,800円となります。

        よってフリーターの手取り額は1,126,700円になります。

        次に家族の手取り額を計算します。この場合は扶養控除は適用されなく、家族分の保険料と税金額を差し引くいた手取り額は4,000,000円となります。

        よって家族の総手取り額は51,126,700円となります。

        年収が150万円の場合

        まずフリーターの手取り額を計算します。この場合、家族の扶養からは外れるため、支払い額は225,000円、住民税は54,500円、所得税は23,900円となります。

        よってフリーターの手取り額は1,196,600円になります。

        次に家族の手取り額を計算します。この場合は扶養控除は適用されなく、家族分の保険料と税金額を差し引くいた手取り額は4,000,000円となります。

        よって家族の総手取り額は51,196,600円となります。

        【結論】扶養を考慮すると年収130万~150万は手取りが減る

        まず所得税が免除され扶養控除が適用される年収103万円の壁が存在します。

        また年収103万円を超えて年収130万円までは手取り額が増えるものの、年収130万円を超えると親などの扶養からは外れるため、手取り額が減ることが分かりました。

        最終的にフリーターの年収が150万円を超えてくると、保険料や税金を差し引いても手取り額が多くなり、親などの扶養から外れることを選択し、自身にて加入した方がメリットがあると言えそうです

        まとめ

        今回はフリーターが親などの扶養に入っていた場合の保険や税金面の優遇について説明しました。親などの扶養に入れば、フリーター自身は実質無料でけがや病気にかかった際の補償が受けられる反面、稼げる年収の上限が存在します。

        税金については「扶養に入る」、「扶養から外れる」といった概念は存在しませんが、年収によっては非課税となり払わなくて済みます。

        また扶養から外れることを選択した場合、年収が150万円を超えてこないと、手取り額が少なくなってしまうことが分かりました。よって将来かかる費用を見据えて稼ぎたい場合は、保険料や税金はかかりますが扶養から外れることを選択してでも、「年収の壁」を気にせずに働くことをおすすめします

        また正社員の場合は、通常、入社と同時に健康保険や厚生年金に加入することになります。厚生年金や健康保険については勤め先の企業も一定割合を負担しており、自身の支払い額は実質少なくて済むため、会社員にとってはお得な制度なのではないでしょうか。よって健康保険や厚生年金の恩賞を受けたい人は、正社員に就職するのも1つの手です。