仕事を始めるといつか辞める時が来ます。特にフリーターの場合は、1つの職場に長期間働くケースが少なく、職場を転々とするものです。

そして今の職場を辞める際には、無断で辞めるわけにもいかず、必ず職場に辞める旨を申し出なければいけません。しかし辞めたいと申し出ても、すんなり辞めさせてもらえないことが多いのが実情です。

そこで今回はトラブルを起こさずに今の勤め先を辞めるためのはどうしたらよいか、その方法についてお伝えします。

特に大事になってくるのが、勤め先に申し出る「バイトを辞める理由」です。結婚や就職ならまだしも「同僚の○○さんと気が合わないから。」とか「時給が安いから。」といった理由は、中々言い出しにくいですよね。

よって今の職場を辞める際に周囲から納得されやすい理由もいくつかご紹介します。最後にどうしても今すぐに辞めたい場合はどうしたらよいのかについても解説します。

納得してもらいやすいバイトを辞める理由

勤め先に納得されやすい理由を端的に言うと、「バイト先やフリーターのあなたに原因があるのではなく、あなたの環境の変化によりやむをえず辞めなければいけない」ことが伝わる理由であればOKです

具体的には下記のような理由だとあなたが辞めたい気持ちをすんなりと理解してもらいやすいです。

就職が決まったから

これは他の企業に正社員として働くことになったので、今の勤め先を辞めるというものです。

なぜこの理由が有効かと言うと、次に働く職場が見つかっている上に次の就職先の方がバイトでなく正社員として就職し待遇がよいため、引き止めにくいからです

人手不足な職場だと勤め先から今のフリーターのポジションから正社員のポジションを打診されることがあるのですが、就職先も決まっていて就職日も決まっているとなると、バイト先に本気で辞めたいことが伝わりやすく、引き止めにあいにくいからです。

伝える際のポイント
  • 2ヵ月後に就職しなければならないなど、「明確にこの日までに辞める」という意思を伝える
  • 次に就職する企業名を無理に答える必要はないが、今の職務内容とは異なる業界で働くことや次に働く企業の業界は伝える(異なる業界への就職のため引き止めに合いにくい)

また未だ就職できていなくてこの理由を言うのを気が引ける場合は、「就職活動を始めるにあたって時間が必要になった。」という理由も有効です

しかしその際はバイトをしていると時間が削られてしまって就職活動に支障をきたすことを明確に伝える必要があります

なぜならバイトのシフトを減らせば、就職活動中であっても引き続き働くことはできるのではないかと思われてしまうからです。

よって例えば、

  • 短期で就職を決めたくて、大量に企業の採用に応募し面接に行く必要があるため、どうしてもバイトをする時間が取れない
  • 地方(都心)で就職したくて移動に時間がかかるため、バイトをする時間が取れない

といった理由を合わせて伝えましょう。

トーク例

「○月のはじめから、○○業界でずっとやりたかった営業の仕事に就くことになりました。
ここで学んだことを活かしてこれからも頑張っていきたいです。」

親の病気や怪我の看病

家庭の事情についてはバイト先も深くは聞くことができないため、この理由も納得されやすいです。

特に今の勤め先から遠く離れた場所に親が住んでいる場合、親の看病のために実家に帰らなければならなくなったのでバイトを辞めざるをえないと話しましょう

伝える際のポイント
  • 両親のどちらが病気やけがをしたのか
  • 病名
  • 現在の状態
  • 他に看病する人がいなく、自分が看病しなければいけないこと

これらをはっきり職場に伝えると納得されやすいです。

ちなみに家庭の事情として似たような理由で「出産や育児」が挙げられますが、この理由の場合、今の職場を辞めた後に本当は出産や育児をしていないことがばれてしまった場合、非常に気まずい思いをすることになります。

一方で親の病気や怪我の看病については、今の職場を辞めた後に親と一緒にいるところを見られたとしても、既に完治した(もしくは快方に向かっている)と言うことですんなりと受け入れてもらいやすいです。

しかし後でつじつまが合わなくなることを避けるために、バイトを辞める際に申し出た親の病気や怪我の様子をしっかりと覚えておく必要があります

トーク例

「先週に父が脳梗塞にかかりしばらく入院することになりました。
手術はしないもののしばらくは面倒を見る必要があります。
母親もフルタイムで仕事をしているので、自分が1度ここを辞めて父の面倒を見たいと思っています。」

お金が必要になった

自身の家族の状況が変化して今より稼がないといけなくなってしまったという理由の場合、バイト先もおいそれと引き止めにくいものです。先ほど紹介したような親の看病も1つの理由ですし、出産や育児のためというのも理由になります。

  • フリーターの場合、劇的に時給をアップさせることも難しい…
  • シフトを多く入れることを提案されたとしてもそれでは解決にならない…

上記のような状況だから仕方なくバイトを辞めることを申し出ているという姿勢で臨みましょう。

加えて先ほど紹介した理由とも関連しますが、「お金が必要になったため正社員として就職することにした。」という理由が一番受け入れてもらいやすいです

(ちなみに「フリーターの平均年収」で解説していますが、フリーターにおける平均収入は40代を超えても200万円台と一生涯上がらないという問題があるため、フリーターから正社員になることはなんら不自然はないと言えます。)

トーク例

「父が脳梗塞で倒れたため、仕事にしばらく復帰することができません。
しばらくは母と自分の収入だけで暮らしていくことになるのですが、母と自分の収入だけだとこれからの生活が苦しくなりそうです。
よって自分が正社員になって今より稼ぐことに決めました。」

資格の取得

これは将来手に職をつけるために資格をとるために時間が必要になったために、バイトをする時間がとれなくなったためバイトを辞めたいという理由です。キャリアアップを目指す前向きな理由のため、納得されやすいでしょう。

しかしただ漠然と資格を取得すると伝えても、フリーターを辞めて何をしたいのかが伝わってきません。そこで下記のように資格を取って何をしたいのかまで明確に伝える必要があります

※取りたい資格と希望の進路例

  • 公認会計士の資格をとって監査法人で働きたい
  • 司法書士の資格を取っていずれ自分の事務所を立ち上げたい

また保育士や歯科衛生士などは資格取得のために専門学校や短大に通うのが一般的です。よって専門学校や短大に通いたいため、バイトは辞めざるをえないことを伝えることがよいのではないでしょうか。

いずれにせよ「この資格を取得するには時間がこれだけかかる。だからバイトに割く時間が取れなくなってしまった。」ということを明確に伝えることが重要です

トーク例キストが入ります。

「前からネイリストになりたくて、思い切ってネイリストの資格をとることにしました。
独学でも取得できるのですが、いずれは開業もしたいので貯金を貯めてネイルスクールに通うことにしました。
本当は今のバイトと両立できたらよいのですが、しばらくは資格を取ることに集中したいと思っています。」

おすすめできないバイトを辞める理由

反対にバイト先にこれを伝えると、つじつまが合わなくなり自分の首を絞めたり、バイト先から引き留めに合いやすく話が堂々巡りになってしまう理由を紹介します。

引っ越し

バイトを辞める時には問題ないのですが、近隣にバイト先の同僚や上司が住んでいて鉢合わせした場合、なんと説明すればよいか非常に迷うことになります

特に生活着のままスーパーやコンビニでばったり会ってしまうと、実は引っ越ししていなかったことがばれてしまいます。

留学

引っ越しと同様、1年間海外で留学をするためバイトを辞めたことになっていて、うっかりバイト先の人と日本で鉢合わせしてしまった場合、弁解するのが大変です。

親戚の結婚式などで一時帰国中であるなど、瞬時に相手になぜ今日本にいるのかを伝える必要がありますが、つじつまを合わせるのが大変なのでおすすめしません

同僚や上司が嫌い

これはバイトを辞めたあとは困らないのですが、バイトを辞める申し出をする際に引き止めに合ったり、理由を根掘り葉掘り聞かれて話が進まないといったことが起こります

企業も簡単に人が辞められてしまうと欠員補充のコストがかかり困ります。よって特定の部署の同僚や上司のことが嫌なのであれば、別の部署や店舗で働くことはできないか提案してきたりします。

また仮に同僚や上司が本当に嫌いだとしてもそれを面と向かってバイト先に伝えるとひんしゅくを買うことも。個人的なわがままと受け取られたり、「あなたにも改善の余地はあるでしょ。」と反論されてしまうこともあります。

反対に勤め先が過度にこのことを受け止めて、同僚や上司があなたをパワハラしているのではないかと話を発展させて、同僚や上司に聞き取り調査をはじめたりすることもあります。

いずれにせよバイト先の人は、勤め先を辞めることを受け入れる前に何とか残ってもらえないかと画策しようとするため、1回の面談でバイトを辞めることが難しくなります。また自分以外のだれかを悪く言うことになるためおすすめできません

仕事が辛い

これも仕事をする上で何が辛いのかを具体的に聞かれることになりますし、バイトを始めてから少ししか経っていない場合は、「もう少し続けてみたら楽しくなってくるかもよ。」と言われて面談が終了になってしまいます。

もちろん精神的に仕事が辛くてバイトに行きたくないというところまで伝えられれば、強引に引き止めるということはないですが、親身なマネージャーや店長ほど「あと少し頑張れないか。」と言われてしまいがちです。

さてここまで今までNG例をいくつか挙げてきましたが、あらためてNGな伝え方についてまとめます。

  • つじつまを合わせるのが大変な理由はNG
  • 自分のせいではなく、職場の人や仕事のせいにするのはNG

この2つに気を付けながらバイトを辞める申し出をしましょう。

また最近だと辞めたバイト先の人とSNSでつながっていることが多いため、バイトを辞めた後の投稿内容も注意が必要です

フリーターがバイトを辞める時に気をつけること

フリーターがバイトを辞める際に気をつける点は辞める理由だけではありません。いつまでに申し出るかや、申し出る方法も重要なポイントなのです。

1ヶ月前までには申し出る

民法上では最大2週間あれば仕事を辞めることができるとされていますが、しかし引継ぎや穴埋めのための欠員募集の期間を考えると、辞める1か月前までには職場に申し出るべきです

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用:民法第627条 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

特に飲食店などアルバイトがいないと回らないような職場の場合、急に辞められてしまうとシフトを組むことができません。すると民法上の2週間前に申し出ても、急に辞めてしまうイメージが払しょくできず、円滑にバイトを辞めることは難しくなります。

一方バイトの中には予め契約期間がいつまでと定められているところもあります。その場合は原則その契約期間が終了するまでバイトを辞めることはできません

もし契約期間中にも関わらずバイトを辞めてしまった場合、下記の民法第628条に則り損害賠償を請求されることもありますので注意してください

当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用:民法第628条 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

直接辞めることを申し出る

最近はメールやLINEなどのSNSだけでバイトを辞めることを申し出る人がいますが、非常識と受け取られてしまうことが多いです。またメールやSNSで辞める旨を送ったとしても、読み流されてしまうこともあります。

最近はシフトの変更や遅刻の連絡をLINEなどで行う勤務先も多いようですが、バイトを辞める申し出をする際には使うべきではありません。

言った言わないのトラブルにもなりやすいため、必ず職場に出向いてバイトを辞める旨を伝えましょう。またもし職場に出向くことが難しい場合は、最低限電話でバイトを辞める旨を申し出ましょう

どうしてもすぐにバイトを辞めたいと思ったら

ここまで円満にバイト先を辞めるための方法について見てきました。そして円満に辞める場合はある程度の期間が必要なことが分かりました。しかしながらどうしても今すぐにでもバイトを辞めたい場合もあります。

そのような時はどうしたらよいのでしょうか?

円満にバイトを辞めるということはできなくなりますが、最終手段として以下の方法があります。

有給休暇の消化

有給休暇を消化することで即日辞められるかもしれません。と言うのも、先ほど説明した民法や就業規則に定められる退職の申し出期日には、有給休暇は含まれていないからです。

しかしこの方法は有給休暇が2週間以上余っているフリーター限定の方法のため、まずは在職中に自身の有給休暇があと何日分残っているのかをしっかりと確認しておきましょう

退職代行の利用

退職代行とは退職の申し出をフリーター本人に代わって行ってくれるサービスのことです。

面と向かってバイトを辞めることを勤め先に申し出にくい場合はこのような代行サービスを利用するのも手です。(しかしながら新しいサービスであることから、まだまだ理解してくれない企業も多いですが。)

最後に無断欠勤(いわゆるバックレ)することもできますが、無断欠勤は職場の他の人に多大なる迷惑をかけるためおすすめしませんし、契約期間が決まっているところだと損害賠償を請求される可能性が高くなります

また退職代行の利用もやはり円満にバイトを辞めるという点ではおすすめできません

※ちなみに退職代行は退職する旨を勤め先に伝えることが業務であり、勤め先との交渉や引継ぎ業務、書類の提出はフリーター自身が行わないといけない点も注意が必要です。

よってやはり自分自身でバイトを辞めることを申し出るのが基本と覚えておきましょう

まとめ

人手不足が叫ばれている昨今、フリーターであっても貴重な人材であることには変わりありません。よってフリーター自身の思い通りにバイトを辞めることが難しくなってきています。

しかしながらトラブルを起こさずに円満にバイト先を辞めることは、バイトを辞める今だけでなく将来にもよい影響を与えます。例えば新しい職場で、以前の職場でお世話になっていた人に出会うかもしれません。その際に円滑に以前の職場を辞めていたら、その人とまたよい関係を築くことができます。

また職場に対してだけでなく、家族や親しい友人にもあなたがバイトを辞めることを理解してもらうようにしましょう。特に家族は次の収入のあてがあるのかを必ずといってよいほど、聞いてきます。あなたがちゃんと生活できるか心配だからです。

よって無計画にバイトを辞めることはせずに、必ず生活の工面ができた状態で辞めるようにしましょう。(フリーターでも年収400万円~500万円以上を得る方法については、「フリーターでも高額年収を得ることは可能?」にて紹介しています。)