まだまだ日本ではフリーター=怠け者、フラフラしているというイメージを抱かれがちです。理由があってフリーターをしている人が多いのにも関わらずマイナスなイメージで見られてしまうのは嫌ですよね。

フリーターの世間体が悪いため、親や友人からもネガティブな突っ込みを受けることも多いのではないでしょうか。

  • いつまでフリーターを続けるのか
  • いつ就職するのか
  • 貯金はできているのか
  • 結婚できるのか

など、周りの友人や家族に会うたびに悪く言われて思い悩んでしまうことも。

とは言え、フリーターで生きることの何がいけないのでしょうか?なんとなく世間からフリーター=悪いと言われても、何が悪いのかいまいち分からないで言っている人が多い気がしませんか?

最終的に周りから安心してもらうために大事なのはフリーターの世間体の悪さを払拭するような生き方をすることです。でも何をどう払拭すればよいのでしょうか?

このコラムを通して周りからフリーターとして生きることについて悪く言われて思い悩んでいる人の参考になれば幸いです。

フリーターの何が悪いのか?

フリーターはフリーターならではのメリットがあります。しかしながら時には非正規雇用というだけで経済的に安定しないという印象を抱かれて、交際や結婚を周りから反対されるといった差別的な扱いを受けることまであるなど、世間体は悪いのが実情です。

でも何が原因でフリーターは世間体が悪いと言われるのでしょうか?世間体が悪いと思う理由は人それぞれですが、整理すると主に以下のようなフリータ=悪いと言われてしまう理由が挙げられます。

経済的信用が得られない

経済的信用度とは

  • クレジットカード
  • 住宅ローン
  • 車のローン
  • 賃貸契約

などを作れるか、結べるかといったあなたの信用度のことを指します。

そしてフリーターの場合、正社員と比べてこれらの経済的信用度は著しく悪いのが現状です。フリーターで安定した収入があったとしても信用度が得られにくいのが現状です。

なぜフリーターは経済的信用度が正社員に比べて悪いのでしょうか?

それは正社員は労働基準法の縛りが厳しく一度雇ったからには簡単にその社員を解雇することができないのです。よって正社員はある日突然給料がゼロになることはないと思われているのです。

しかしながらフリーターはいつ解雇されるか分からないのが実情です。またフリーターの場合、予め雇用期間が決まっている仕事もあり、更新されるかはあなたのスキルや勤め先の経済状況によります。

フリーターはいざ大金が必要なときにお金を借りられないという存在と思われ、世間から不安視されてしまうのです

給料が上がりにくい

20代のうちはフリーターでも正社員と比べて大差ありません。むしろ長時間働くことで、フリーターでも正社員の給料を超えることが可能です。

働かせる側からすると同じ給料であればたくさん働いてもらった方がよいです。よって正社員は固定残業制をとることで時間通りの残業代を出すことは少なくなっています。

ではなぜ20代でも正社員になる人がいるのでしょうか?

それは正社員は30代以降に昇給幅が大きくなり一気に昇給するからです

正社員とフリーターの賃金差について

現在、正社員の35~39歳の平均年収が313万円なのに対して、同年代の正社員以外の年収は210万5,000円となっています。

さらに年齢が増す分、平均年収のひらきは大きくなり定年間近の55~59歳の正社員の平均年収は391万5,000円なのに対して、正社員以外は209万9,000円フリーターの給料は生涯にわたってほぼ一定であることが分かります。
参考:厚生労働省 平成29年賃金構造基本統計調査

給料が少ないということは生涯であきらめなければいけないことが増えることも意味します。例えば住宅ローンを組む人の平均年収はマンション、住宅など形態に差はあれど、年収700万円を超えています。
参考:国土交通省 「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」調査結果の概況

贅沢しなければ給料が少なくても暮らしていけるという意見もありますが、給料が上がらないということは貯金もしにくく、日々の生活だけでいっぱいいっぱいになり、贅沢をしなくても子育てで大金が必要なときに用意ができません。

それであれば結婚を諦めればよいという意見もありますが、最近だと高齢化で両親の介護の必要性も上がっており、さらに自身の老後の資金準備ができないというリスクもつきまとっています

仮に65歳で退職したとしても、90歳まで生きると仮定した場合、25年間もの時間が残されています。国民年金の支給額を月額に換算すると、約65,000円になります。
参考:国民年金機構 老齢基礎年金受給条件

65,000円というと、毎月の家賃をやりくりするのも大変な金額になります。よって自身で現役時代にどれだけ貯金をしておき、老後に備えておくかが重要になっています。

また一説には現役世代時と同じ暮らしを維持しようとすると、1人当たり3,000万円必要と言われています。しかもこれは日々の生活をしていくのに必要な費用であって、旅行や教育資金は省かれている点に注意が必要です。

さらに正社員であれば住宅手当や勤続手当など、基本給以外で得られる手当が存在します。フリーターの場合、交通費の支給しかないところがほとんどです。

例えば家族を持てば正社員は家族手当や子ども手当がもらえるのに対して、フリーターの場合は手当がつかないことが多いです。結婚した際のお祝い金も支給されません。

よってフリーターの場合は「現役」、「老後」という考え方はなく、身体の自由が利くかぎりは一生涯フリーターとして生活費を賄う必要があることを肝に銘じておかなればなりません

加えて家族を持てば当然支出が増えるものの、手当が十分に得られないフリーターの場合は、余計に正社員との収入格差がひらいていくことになるのです

専門スキルが身につきにくい

フリーターの場合、正社員と比べて専門性を求められることは少なく、単純作業を求められる傾向にあります。すると何年経っても、仕事で使えるスキルや専門性が身につくことがなく、次の職場でも単純作業を求められてしまいます。

歳を重ねれば重ねるほど、この分野に精通しているといった自分を語る上での専門性が求められます。自己紹介で専門性をアピールできないと社会的信用という点で不安を覚えられてしまいます

またずっと単純作業を繰り返している場合、自身の得意分野が中々見いだせず、進路に悩んでしまったり、次の職場では一から新しいことを行うことになり、経済的にも精神的にも安定しないものです。

さらに給料が上がりにくいことと関連しますが、単純作業で得られる賃金はやはり低く抑えられています

フリーターには良いところもある

フリーターは世間体が悪いと言われるものの、フリーターを好んで選んでいる人もいるのも事実です。要はフリーターでいることのメリットが大きいと感じるためフリーターを選んでいるのです。例えば下記のようなメリットが存在します。

時間を自由に使える

何といっても一番のメリットは時間に融通が利くことではないでしょうか。ある程度出勤日数や時間帯が決まっている職場はあるものの、基本的には自分の希望するシフトで働くことができます。休みたい日は比較的簡単に休むことができます。

正社員であれば決まった時間に決まった場所に行って1日働くことを余儀なくされます。毎日通勤電車の乗られ働きに出てなければならず、趣味や自分の夢に向かってたくさんの時間をとることもできません。

しかしフリーターの場合、長期間休みをとって旅行に行くこともできます。若いうちに留学をして語学力と経験値を高めることもできるのです。

色々な職業を経験できる

正社員の場合、副業が解禁されているとは言え、時間の融通が利かないことから基本的には同じ期間の中で1~2つの職業にしか就くことができません。しかしフリーターの場合は種類の異なる求人に応募するハードルが低く、たくさんの職業を経験できます

例えば今日コールセンターのアルバイトをしたと思ったら、次の日には試食販売のアルバイトをし、さらに次の日はイベント設営のアルバイトに入ることだってできます。

正社員の場合1つの職業に腰を据えることはできますが、反対に自分に合わない仕事であった場合、毎日やる気も起きず最終的には鬱に発展することもあります。

しかしフリーターの場合は1日だけの短期での求人も多く、お試し感覚で応募することができるため、自分の向き不向きを知るよい機会となります。また未経験可としている求人が多いため、門戸が広いのが特徴です。

さらに副次的なメリットとして色々な職場に出向くことが多いため、知り合える人の数が多いということです。気の合う同僚もできたりと正社員に比べて関わる人が増えるのはよいことではないでしょうか。

入社・退社しやすい

正社員に比べてフリーターは、書類選考や面接のハードルが低いため入社しやすく、また辞めたいと思った時に比較的早く辞めることができます。特に人手不足が激しい飲食業界やコンビニなどは簡単に入ることができます。

またブラック企業に正社員として就職してしまった場合、中々退職をさせてもらえず、また長時間働かざるをえないため転職活動もままならいといった悪循環に陥ることがあります。後任者がいないからといって辞めさせてもらえないこともあります。

しかしフリーターであれば、簡単に退職を受け入れてもらいやすいというメリットがあります。これ以上この職場で働きたくないと思ったら簡単に見切りをつけて、さっさと次の職場を探すことができるのです。

また中には予め勤務期間がこの日までと定められているところもあります。さらには1日だけの限定求人もあります。短期だからこそ自分に不向きな職業や職場であったとしても、割り切って求人に応募して働くことができるのはよい点なのではないでしょうか。

転勤をしなくてよい

企業や雇用形態にもよりますが総合職として入社した正社員は、企業の言われるがままに転勤を余儀なくされます。日本国内ならまだしも海外に転勤ということもざらにあります。

自分1人だけならまだしも家族がいる場合でも、原則転勤の命令を拒否することはできません。転勤する度に都度単身赴任か家族についてきてもらうかの選択をしてもらわなければならないのです。

また正社員の場合は出向や転籍を余儀なくすることもあります。正社員だからといって案外1つの職場でずっと働き続けることはできないのです。

その点フリーターであれば、企業毎に採用しているところが多く人材の異動は部署単位か、あっても限られた地域の中での異動となります。引っ越しをしなくてよいため、将来の計画も立てやすいメリットがあります

仕事でのプレッシャーを受けにくい

正社員の場合売上のノルマが課せられるなど、何かしらのプレッシャーを日々背負いながら仕事をしなければなりません。しかしフリーターの場合は、売上のノルマなどの目標が課せられることはなく会社からのプレッシャーを感じずに仕事ができるメリットがあります

もちろん指示された業務内容をこなす必要はありますが、上司にノルマが達成できていないことで詰められることもないため、プレッシャーに弱い人にはよい環境です。

加えて会社の予算達成のために過剰に勉強する必要もありません。キャリアアップについての資格については任意としている勤務先も多く、研修も多くはありません。勤務外に何か勉強する時間をとる必要がないため、働いていない時間帯は自分の好きなように使えます。

フリーターのメリット まとめ

ここまでいくつかフリーターならではのメリットを挙げてきましたが、まとめると「仕事そのものに自分の人生を縛られにくい」ことがフリーターとして生きることのメリットなのではないでしょうか。

よく考えてみたら、別に仕事に人生の大半の時間を使うために生きているのではありません。生活のために働いているのであって、働くために生きているわけではないことを考えると、フリーターの何が悪いのか?と思う気持ちも頷けますよね。

フリーターとして生きるために覚悟しておくこと

これまでフリーターの世間体の悪さを説明しましたが、そうはいってもやむをえずフリーターとして生きている人もいるでしょう。また正社員であっても早期退職を求められたりと、今や正社員でも安泰ということはなくなっています。

しかしフリーターとして生きていくには上記に挙げてきたような世間体の悪さを背負っていくことになります。フリーターで生きていくためには以下のことを覚悟すべきです。

結婚や出産はできない

最近は未婚率も上昇し、結婚することが幸せであるという価値観が崩れ去っているので、結婚できないことはデメリットでないと思う人も増えています。

しかし友人が結婚をして子どもが産まれたりしたときに、ふと結婚しないままでよいのかと思いを巡らす時がくるかもしれません。また費用がなくても結婚や出産はできますが、やはり経済的安定があった方が結婚や出産はしやすいのが実情です。

実際に相手に求める年収は300万円以上という調査結果も
さらに女性は結婚相手の男性には年収500万円以上を求めているそうです。
参考:アニヴェルセル株式会社 結婚相手に求める年収、男性と女性ではこんなに違う!

いざ結婚したいと思ったら男性も女性も正社員になることを目指した方が、経済的に幸せな結婚生活が望めますね

贅沢は禁止

仮に毎月の収支がプラスになったとしても、プラスになった分を交際費に使ってはいけません。老後に備えて貯金する必要があるからです。

飲み会や旅行は我慢する必要があるのです。友人に誘われても断る勇気が必要です。賃金が上がらないのであれば20代のうちから計画を立てて貯蓄しなければなりません。そうでなければ老後に路頭に迷ってしまいます。

世間体の悪さを受け入れる

いくらまっとうな生活をしていても、フリーター≒悪と見なす人がいるのが実情です。特に一生涯正社員として生きてきて、年功序列で生きてきた人からフリーターでいることを理解されるのは至難の業です。

しかしここで重要なのは、フリーターでいることを受け入れらないことに嘆くのではなく、世間体が悪くても毎日気にすることなく、希望を持って生きていくことです

今は自給自足な暮らしがクローズアップされており、フリーターとして生きることも受け入れられる世の中になっていくとは思いますが、今は転換期だと思い、世間体を気にせず生きていくべきです。

まとめ

今回は「フリーターの何が悪いのか」と題して、何が原因でフリーターでいることがネガティブに捉えられてしまうのかを紹介しました。

フリーターに限らず正社員であっても、何が理由で自分がこの仕事を選んでいるのかは常に問い続ける必要があります

フリーターであれば、何が理由でフリーターを選んだのか?ずっとフリーターとして生きていくのか?を常に問い続ける必要があります。またやむをえずフリーターとして生きているとしても、就職せずあきらめてしまったら惰性になってしまいます

またフリーターとして生きていくことは可能ですが、余裕のある生活を送ることは描きにくいことを覚悟し生きていくべきです