ニートや無職になると、歓迎されることは少なく「働かない若者」として悪く映ることが多いです。理解されない人からは、働かない人≒怠け者と思われることもあります。
参考:NTTコムリサーチ ニート・フリーターに関するアンケート
確かに働かないことで金銭的報酬を得ることが一気に難しくなります。金銭を得ることができないと生活するのは非常に困難となります。親のすねをかじっているというイメージや、さらに税金を納めていない、生活保護に頼っているといった、仮に事実は異なるとしても、偏った見方をされることもあり、罪悪感を感じる人も多いのではないでしょうか。
しかしながら理由があって仕事をしていない人もいます。わけあって会社を辞めた選択した人は働くことよりも働かないことに意義を見出しているのです。
結局働かないでいることは悪いことなのでしょうか?罪悪感を感じなければいけないのでしょうか?むしろ無職でいるから得られることもあるのではないでしょうか?
そこで今回は「やはりニートや無職でいることは悪いのか?」について考察しました。
ニートや無職は本人にとっては悪くない
確かにニートや無職の世間体は悪いですが、無職になったらなったで本人にとっては悪いことばかりではありません。働いてたらできない経験をたくさんすることが可能となるからです。例えば下記のような点で、無職は悪くないと言えるのではないでしょうか。
時間を気にせず何でもできる
会社に行かなくなった途端、毎日が自由時間となります。その自由時間を活かして、好きなだけやりたいことに没頭できるのです。
- 自分を見つめなおすために自己分析にありたっけの労力を注ぐ
- 自己研鑽のために勉強や資格を取る
- 長期間旅行に行って開放的な気持ちになる
- ずっとやりたかったボランティアに勤しむ…
など、時間が手に入ることでやりたいことをやること自体はそんなに悪くないことですよね。
また本当に自分と向き合おうと思ったら四六時中、自分に問いかける必要があります。しかし働いていたら考えることは目の前の仕事をどうこなすかに終始してしまいます。
無職になれば自分の本当にやりたいことや極論何のために自分が生きているのかを、深く考えることができます。考え抜いた結果出た答えは、今後の生きる上での大きな軸になることは間違いありません。これ自体は悪くはないのではないでしょうか。
無職になれば何をしようかを考えて行動するかはすべてあなた次第。
- 実家の家事の手伝いをしたりと今までできなかった親孝行をする
- ネットを介して自分でビジネスを起こす
このようなことも可能です。もし自身でビジネスを起こして会社員時代よりも高収入を得られれば、結果的に会社を辞めたことは悪くなかったと言えるでしょう。
社内での人間関係に悩まない
働く上で1人で完結することは少なく関わる人もそれなり多いものです。よって会社を辞めれば、人との関わりが急激に減っていきます。すると人間関係の煩わしさからくるストレスから解放されます。
さらに出世競争や派閥争いからも解放されます。人を蹴落として自分が一番になる必要がなくなるのです。今はパワハラが今まで以上に問題視されています。それも利害関係があるから起こることです。
ストレスに苦しんで勤めるあげることよりも大事なことは命や健康です。過労死してしまったら、鬱になってしまったら元も子もないのです。
もちろん親や友人からのストレスは仕事をしなくてもつきまといますが、人からのストレスの絶対数が少なくなるメリットがあるため、この点において無職にあることは悪くないと言えます。
収入が途絶える恐怖と戦える
例えば正社員でずっといると、翌月から収入が入った来なくなった場合どうしたらよいのか恐怖におびえる人は少なくありません。辞めた後のシュミレーションをしたとしても生活水準を下げて生活できるのかを不安に思って会社を辞める勇気が出ない人がほとんです。
しかし会社を辞める人は仕事を辞める段階で、収入がなくなることのデメリットを乗り越えています。そもそも収入がなくなることは恐怖ではなくただの現象なのです。収入がなくなったとしても何とかなるという精神を芽生えさせることができます。
そして収入が途絶えたところからどうしていくかを考えて実行することも経験できます。いわゆるサバイバル能力を生きながら身につけることができる絶好のチャンスなのです。
- 最低限の生活費で自給自足するのもよし
- 親に頭を下げるのもまたよし
- 自分でビジネスを起こす準備をするのも、これまたよし
「明日からどうやって生きていこう?」と毎日考える中で、不安な気持ちやプレッシャーも押し寄せてきます。友人から家族から「これからどうするの?」という決まりきった質問にもずっと答えつづけなければなりません。そういった手に汗かく焦りをリアルに体験することができるのは悪くない経験なのではないでしょうか。
まとめると、ニートや無職でいることは、働いている時よりも何をしてもよい自由が手に入るというメリットがあると言えるため、働かないことは悪くないと言えるのではないでしょうか。
しかし周りからの風当たりは強い
しかしそうは言っても冒頭で申し上げたとおり無職でいることに対しての風当たりは強いです。たとえ本人が好んでなったとしても、親や周りの友人から中々受け入れてもらえないということがよく起こりますし、その度に罪悪感にさいなまれることもあるのではないでしょうか。
そもそも無職が悪いと世間から思われる理由。それは日本人の働くことに対しての価値観が大いに反映されています。日本では大人になっても働かずにいることは何も生み出していないことであり、何も生産していないことは悪いことであるという風潮があるからです。
具体的には以下のような理由で世間から、働かない若者は悪いとして見なされてしまい、罪悪感を感じてしまう傾向にあります。
親のすねかじりと見なされるから
「親のすねをかじる」ということわざにあるように、成人後も経済的に自立していないことを人はネガティブにとらえます。
もちろん全員が親に金銭的援助をしてもらっているわけではありませんが、働かないでいるということは収入を得ることができないと見なされ、親に頼って生きていると見なされてしまうことが多いのです。
特に怪我が病気で満足に働けない状況ならまだしも、健康な状態で働かない人に対しての風当たりは強いです。自身は楽する代わりに親に苦労かけていると思われてしまうのです。
そこには、
- 成人したら自立して親孝行すべき
- 成人後も親に頼ることは恥
という日本人の価値観が背景にあるのでしょう。
また批判だけでなく無職者数が増えることが心配や不安という意見もあります。悲惨なのは親が高齢化していき、働けなくなり収入が途絶えた時です。その時は親だけでなく収入を得ていない自分自身も共倒れになるリスクがあります。
さらに一部では「ニートを生んだ親も悪い」という意見があり、親はなぜ自分の子どもが働かないのかを悩んでしまうというケースもあり、親が子どもが働かないことで思い詰めてしまうという問題もあります。
よく言われるのは「甘やかして育てから子どもが働かないのではないか。」「親が執拗に子どもに援助してしまうから子どもが働かないのか」などです。
本来親の育て方が悪いから子どもがニートになってしまったとは必ずしも言い切れないのですが、日本では「子どもが働かないのは、子どもの教育がきちんとできなかったからである」といった、ニート問題を親の責任にする傾向にあります。
よって世間から自身に対してだけでなく、親に対しても批判の矛先が向けられることになりますし、親不孝者と思われてしまうリスクもあるのです。
単に逃げているだけだから
日本はデフレから脱却できず、それがゆえに多くの人が低賃金での労働を強いられています。また長時間労働は是正されてきてはいるものの、長く働かないと売上が上がらないという状況は依然として続いています。
このような悪条件の中で働く中で、多くの人が高度経済成長期やバブル時代と比べて働いても働いても以前と同じように稼げない…という状況に苦しんでいます。しかし生きていくためには悪条件の中でも働かないといけないのもまた事実です。
そのようなあくせく働く人からすると、ニートの存在は単に働くという嫌なことから逃げているだけと思われがちなのが実情です。楽をして生きようとしている存在にどうしても見えてしまい、妬みの対象となってしまうのです。(でもこの理由はニートの気持ちを実は理解している人が述べる理由だったりもしますが…。)
社会に貢献していないから
働くことは誰かに貢献することにつながります。不動産が売れれば誰かがその家に住むことができ、福祉サービスが提供されれば、安心して老後を送れるようになります。
働くこと自体が誰かの役に立っていることであると考えたときに、無職の場合は誰かの役に立っていないと見なされてしまうのです。働かない人はただの消費者であり、自分では何も産み出さない人というレッテルを貼られてしまうのです。
また働いた場合はかならず所得税が徴収されますが、働かない限り所得税をとられることはありません。しかし税金からなる社会保障は低所得層に対しての支援が厚いことから、税金を払っていないのに充実したサービスが受けられるといった穿った見方をされることも事実なのです。
以上がニートや無職が世間から悪いと印象付けられる主な理由でした。
世間からは大人であれば目指すべき「勤勉で自立している人」からかけ離れている存在がニートや無職であるがゆえに、批判を受けてしまったり、ニート本人が罪悪感を感じてしまうのではないでしょうか。
ニートや無職が覚悟すべきこと
ニートや無職は本人にとってはよいと思えるものの、冒頭8割の人が働かない若者に対する印象が悪いと伝えたように、やはり周りからの評価は低いのが実情です。
よってニートになりたいと望んでいる人は、今一度紹介したような世間からの評価を真っ向から受け止める必要があります。無職でいつづけることにことさら罪悪感を感じる必要はありませんが、ニートになりたいのであればまずは「なぜ自分がニートになりたいのか。ニートになって何をしたいのか?」をはっきりさせる必要があります。
同時にいつまでニート生活を続けるのか、ニート生活の後の生活はどうするかも計画を立てる必要があります。大事なのが、「期間限定」という考え方です。ずっと働かず収入が得られない状況で生きていくという考え方は非難の的となります。
「ニート期間は○月○日まで」という期間をはっきりさせたのであれば、あとはニート期間中しかできないことを罪悪感を感じることなくやりきりましょう。
次にどうやったらニートに対する世間体の悪さを払拭できるかを考えるべきです。例えば、
- 生活費はどうするのか
- 働くこと以外でも社会貢献はできないのか
などを自分なりに工面する必要があります。
またもし親に金銭の援助をしてもらうとしても、それに対して家事は自身が担うなど別の形で親孝行できないか考えてみましょう。また感謝をきちんと表現し、いつかは恩返しができるようにしましょう。
ニートになったのであれば、罪悪感を感じ続けたり、無気力にだらだらすることに終始するのではなく、何のためにニートになったのかを常に問い続け、やりたいことを追及していくべきしょう。
一方でやはりニートは悪いという世間からの意見があるのは事実です。そしてニートであることに対しての世間体の悪さから来る罪悪感を耐えられるだけの確固たる覚悟を持てない場合は、就職という道を考えるべきです。
ニートや無職から脱出するには?
一方でニートや無職でいることの覚悟ができなかったり罪悪感に耐え切れずに、ニートや無職から脱出したい場合は何からはじめたらよいのでしょうか?
まず昨今さらに就職を希望しているニートの人専用の就職支援サービスが充実してきているため、それらのサービスの利用をおすすめします。最近は、働く人の中でも、うつや、パニック障害に悩む人が増加しており、働く人を精神面から助けることの必要性を、社会がより認識しているからです。
とは言え、ニート向けのサービスが充実してきているといっても、キャリアの空白期間が空くとやはり就職しにくくなるということはありますので、「ニートでいることは悪いことである」と罪悪感を感じてニートから脱出したいと思った場合は、できるだけ早く就職活動を進めるべきです。
求人サイトや就職支援サービスによっては、ニートの人が安心して社会復帰への一歩を踏み出せるように、未経験やスキルが乏しくても応募が可能な求人を特化してまとめてくれていたりします。
またニート向けの就職支援サービスは、ニート期間中に得たものや感じたことを肯定的に伝えられるように、面接対策や書類選考対策を行ってくれたりと内定獲得のためのサポート機能も充実しているためおすすめです。