一般的にフリーターは正社員に比べて高年収になりにくいと言われています。特に30代を超えて年齢が上がるにつれて年収格差は広がるのが現状です。実際正社員以外の平均年収は210万8,000円であり、年収300万が限界ともいわれています。
参考:厚生労働省 平成29年賃金構造基本統計調査

しかしフリーターであったとしても、時給や働き方次第で高年収を得ることはできるのでしょうか?ギャンブルや違法なビジネスをすることなく、年収1000万以上を稼ぐこともできるのでしょうか?

今回はフリーターであったとしても高年収を得ることは可能なのか、高収入を得るための方法について紹介します。

フリーターで年収400~500万以上は可能か?

フリーターの限界年収が300万を言われている中で、年収400~500万を稼ごうと思った場合はどのような条件で働けばよいのでしょうか?ここではフルタイムの正社員と同じく労働日数が22日間/月×8時間/日=176時間/月の場合の時給別の年収額を計算しました。

時給1,000円の場合

1,000円/時×176時間×12ヶ月=年収2,112,000円

時給1,500円の場合

1,500円/時×176時間×12ヶ月=年収3,168,000円

時給2,000円の場合

2,000円/時×176時間×12ヶ月=年収4,224,000円

時給2,500円の場合

2,500円/時×176時間×12ヶ月=年収5,280,000円

時給3,000円の場合

3,000円/時×176時間×12ヶ月=年収6,336,000円

上記のモデルケースを見るに、フリーターで年収400万以上稼ごうと思った場合は、時給2,000円でフルタイムで働く必要があります。また時給が高くなればなるほど400万を超えて年収500万以上稼ぐことも可能なことが分かります

年収400~500万以上稼げる職種

時給が高いと年収も高くなり、年収400万、500万も目指せる範囲となりますが、高時給のアルバイトにはどのようなものがあるのでしょうか?

端的に言うと、「体力を必要とする仕事」「何かしらの知見が必要で接客スキルを必要とする仕事」の2つが挙げられます。ここからは高時給が得られ、年収400万~500万を目指せる職業をいくつか紹介します。

警備スタッフ

店舗の駐車場やビル、建設現場、道路工事現場にて車両や歩行者の誘導を行う仕事です。またイベント会場での誘導を行うこともあります。

時給1,500円~2,000円のところが多く、夜勤で入ると時給はさらに上がります。また未経験でもすぐに始めることが可能な仕事でもあります。さらに警備業の資格を取ると手当がつくところもあり、年収400万~500万も目指すことができます。

ただし屋外での業務がほとんどであり、勤務中は立ちっぱなしになることが多いことから体力や体調管理が必要な仕事でもあります。

塾講師・家庭教師

塾講師や家庭教師は1コマあたりの給料が高いことから稼げる職業の1つです。塾には大きく分けて集団塾と個別指導塾の2つがあり、フリーターであったとしてもどちらの形態にも就くことができます。

一般的に集団指導の方が準備に時間を要し、多数の生徒を相手にする労力を必要とするため、時給が2,000円以上と高く設定されていることが多いです。個別指導でも時給1,500円以上のところが多いです。

教員免許を必要としないところが多く、得意な科目からOKとしているところが多いため、未経験でも入ることができます。またプロの家庭教師になると、時給が上がっていき時給4,000円以上稼ぐこともでき、結果年収400万円~500万円、実力がある講師だと1,000万も夢ではありません。

しかしながらデメリットも存在し、生徒に指導できる時間帯は夕方のため、1日通して授業を行い稼ぐことが難しいです。しかし夏期講習や冬期講習中は1日中授業を行うことで、年収500万以上といったさらに高収入を得ることが可能です。

また大手塾でないほど教材がそろっておらず、自身で教材準備を行わないといけないこともあります。教材準備の時間は時給に含まれていないか、一律○○円としていることが多いため、効率よく教材準備を行わないと労働帯収入が低くなってしまいます。

しかし働きながらプレゼン能力やコミュニケーション能力をつけることが可能なため、将来教える仕事に就きたい、正社員に就職をしたいと考えている人にはおすすめです。

ジムのインストラクター

フィットネスクラブにて入会受付や、マシンの使い方の指導、プールの安全確認を行う仕事です。また研修を受ければスタジオでのレッスンを受け持つこともできます。

時給1,500円~2,000円のところが多いですが、高額なパーソナルジムの需要が増えてきているため、高額なジムだとその分時給も高くなり、年収400万~500万稼ぐことも可能です。

塾講師や家庭教師に比べて老若男女を対象としているため、汎用性の高い接客スキルも身につけることができます。また福利厚生で自身のジム利用も可能としているところが多いため、スポーツ好きの人にはおすすめです。

治験モニター

治験モニターとは新薬やサプリメントの効果や副作用を確かめるために、モニターに新薬を服用させ効能を確かめる仕事のことです。一定期間病院施設に入院するところもあれば、通院でもOKとしているところもあります。

治験モニターの場合、長期間拘束されてしまうところが多いため、時給換算ではなく全日程終了後○○円支給としているところが多く、1日あたりで15,000円~20,000円ほどの報酬が謝礼として支払われます。1回当たりの単価が高いので、年収400万~500万目指すことも可能です。

治験モニターのメリットとしては報酬が給与所得の対象外であり、謝礼金として支払われることです。(ただし年間20万を超えると確定申告が必要。)

また特別なスキルや専門性も必要としません。さらに入院型の場合は毎日食事が提供され、施設代もかかりません。

しかしながら治験モニターの場合、まず採用の壁が存在します。健康であったり反対に何かしらの病気を持っていたりと、新薬を試すにあたり対象者が限定されてしまうからです。またモニター中は食事制限や採血が必須であったりと何かと制約があります。

また1ヶ月間近く拘束されることもあるため、他のアルバイトとの掛け持ちの場合は求人数が限られるというデメリットもあります。

そして何といっても副作用が出る場合があります。周りには医師がいるものの、健康状態に支障が出る可能性もあります。

イベント設営

ライブなどのイベントの時の機材の搬入や撤去などを1日かけて行う仕事です。力仕事のため高収入を得ることができ、1日当たり12,000円以上のところが多く、年収400万円~500万円稼ぐことも可能です。

しかしながら施設が閉まっている夜間に作業を行ったり、体力を必要とする仕事のため、体力がない人だと務まらないデメリットがあります。

またイベントの前夜と後夜それぞれ1日だけ募集されることが多いため、長期間働くことができません。よって他のアルバイトと掛け持ちをする必要があります。

イベントコンパニオン

コスチュームに着替えてイベントのコンパニオンとなり、呼びかけを行う仕事です。1日拘束されることが多いですが、時給4,000円以上としているところが多く、年収400万~500万稼ぐことも可能です。たくさんのお客さんと関わることができ接客スキルを向上させることもできます。

しかしながらイベント毎に募集がかけられるため、短期間しか働くことができないため、常に求人に応募し続けることが必要です。

また基本的に立ち仕事になり、声を出すことも求められます。さらに衣装が指定されるため体調管理が難しく、容姿も見られ、実質女性しか就けないことが多いです。

ここまで高収入を得やすいアルバイトの例を見てきましたが、1人で黙々と仕事をすることは少なく、周りの人と協力するスキルや、コミュニケーション能力も求められていることが分かります

またスポットでの仕事も多いことから、高収入を得るためには複数のアルバイトを掛け持ちする必要があります。よって高収入を得るためには常に求人情報を見続けること、応募をし続けることが必要になってきます

フリーターで年収1000万以上稼ぐには?

先ほどまで高時給の職業について見てきましたが、高時給とはいっても年収に換算すると400万~500万であり、年収1000万にはほど遠いことが分かります。やはりフリーターは年収1000万稼ぐことができないのでしょうか?

結論から言うと、フリーターであったとしても年収1000万円稼ぐことは可能ですが、専門的な資格やスキルを必要とします

例を挙げると、薬剤師の免許を持っている場合は、薬局やドラッグストアで非正規で働くことができます。時給は3,000円~5,000円のところが多いですが、5,000円以上といったところもあり、高時給であればあるほど年収も高くなり、年収1000万も夢ではありません。

医師も同様で非常勤であったとしても、ご存知の通り年収1000万稼ぐことができます。

しかし薬剤師や医師になるためには国家資格に合格する必要があり、さらに国家試験を受けるためには大学にそれぞれ6年間通わないといけないという、年収1000万を手に入れる前にかなりの自己投資をしなければなりません。また高い学力も必要となるため一筋縄ではいきません。

またプログラマなど資格は必要とはしないものの、1000万以上もの高収入を得るためには専門性が求められます。どっちにしろ高年収を得るためにはたくさんの自己投資を行う必要があるのです

フリーターは正社員よりも稼げるのか?

上記の例で示したように、フリーターでも年収400万以上の高収入を得る手段はあります。よって高収入なアルバイトを選べば固定給で長期間労働になりやすい正社員になるよりフリーターの方がお得なのでしょうか?

確かに見込み残業制を敷いている企業が増えてきており、正社員の方がブラックで時給に換算するとフリーターの時給以下なこともあります。しかしフリーターと正社員では下記のような違いがあります。

賃金カーブ

正社員の場合、賃金カーブというものが存在します。20代の正社員の賃金はフリーターとさほど変わらないものの、30代を超えて40代以降に賃金が上がっていくというものです。

例えば正社員の平均年収で一番高い年代は50~54歳で398万9,000円となっています。一方同年代の正社員以外の平均年収は205万2,000円と、正社員の平均年収と比べて193万7,000円もの収入格差があります。
参考:厚生労働省 平成29年賃金構造基本統計調査

また正社員の場合は売上の達成次第でインセンティブがもらえることがあります。役職に就けば役職手当ももらえます。

一般的に歳を経るほど住宅や子育てなど支出は増えます。よって収入も必要となるのですが、フリーターの場合、正社員に比べて昇給幅が小さいです。よって1つの職場に長く働いたからといって優遇されるということは少ないのです。

社会保障

正社員の場合は、健康保険や厚生年金に入ることがほとんどですが、フリーターの場合条件を満たさないと、健康保険や厚生年金に入ることができません。

もし健康保険や厚生年金に入ることができない場合は、自身で国民健康保険や国民年金に加入し払うことになります。しかし健康保険や厚生年金に比べると、保障が手厚くないため働けなくなった際のリスクヘッジが十分ではないのです。

例えば国民年金の場合、支給額が779,300円/年(平成30年度の満額)なのに対して、厚生年金の平均支給額(老年年金)は1,775,124円/年となっています。)
参考:国民年金機構 老齢基礎年金受給条件
厚生労働省 平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(P,8)

もちろん個人の働き方によってフリーターは正社員よりも稼ぐことができるものの、フリーターの方が高収入を得にくい環境であり、働けなくなったときの保障も正社員と比べると十分ではないことを念頭に置くべきです

まとめ

フリーターの場合、低収入と言われており、平均年収も正社員と比べると低いことは事実です。

しかし高収入を得やすい職業に焦点を絞ることで、フリーターの立場でありながら正社員以上の給料を得ることは可能です

ですがフリーターにしろ正社員にしろ、高収入を得ようとするほど専門性も求められます。仕事に就ける条件が厳しく誰でも就くことはできないのです。また自己投資を必要とするため、仕事に就く前に高い学費が必要となります

また体力に自信がある人も高収入を得やすいですが、病気やケガをした際や年齢を重ねるほど長時間働くことが難しくなります。フリーターの場合、時給が上がりにくいため、どうしても長時間働かざるをえません。

よって高収入を得るためにフリーターであったとしても専門性をしっかりと身につけて、高時給を得られるように努力をしていくことが必要です。専門性が身につけば正社員への登用される望みも高まります。企業に属さずフリーで働くことで収入をアップさせることもできます。

フリーターであったとしても、仕事選びの段階で就く仕事の平均年収を意識しましょう。また専門性を身につけられるようにまずは資格を取得してみてはいかがでしょうか?